デジタルビジネスの時代において、データは、オフィスビルやトラック、原材料倉庫などのような業務に欠かせないものと同じように貴重な企業資産です。そして、他の企業資産と同様に、データにも障害、破損、盗難が発生します。
しかし、現代の企業にとって、ミッションクリティカルな企業データの管理、保護においては、その複雑さ、コスト、負担が増すばかりです。企業リーダーたちは本質的な疑問を投げかけます。自社のデータはどこにある?データセンターにあるのか、ベンダーのクラウドにあるのか? データに対するアクセス制御はどうなっている? 最悪の事態が起きた場合にどのくらいのコストがかかる? 損害の大きい機能停止が発生した場合、どのような行動を取るべきか?
データが災害に見舞われた場合の緊急時対策はクラウド上でどのようになっているのか?
現代の企業は、これまでになくデータに依存しており、短時間でもデータなしで活動を続けることはできません。障害復旧で最も重要なのは、予期しない業務中断が発生した際に、IT業務を維持または復旧する能力です。効果的な障害復旧戦略では、高度な手法でデータをコピーおよび保管することで、なんらかの出来事やミスによってデータが削除されないようにしています。障害復旧(DR)への対応戦略はデータ損失のリスクを大幅に低減し、事業運営の継続を可能します。
十分な障害復旧(DR)への対応戦略を策定していない企業は、災害が発生した際に、多大な金銭的リスクや信用に関わるリスクにさらされることになります。データ損失は、業務の中断が発生した場合であっても信頼性の高いサービスを期待するお客様やパートナーの信用を損なうおそれがあります。法的な問題や規制に関する問題が発生した場合、特に機密情報が流出した場合は、金銭的な損失が生じることもあります。さらに、業務の中断、復旧に関連するコストと従業員の生産性低下が加われば、このような事象を「惨事」と表現するのが大げさではないことが理解いただけると思います。
独自の障害復旧システムを構築するには大きな資本そして多大な時間がかかるうえ、保守も簡単ではありません。その代わりに、クラウドベースの障害復旧(DR)への対応ソリューションを利用することで、障害復旧システムを素早く構築、保守することができ、コストは従量課金制になります。クラウドベースの障害復旧システムを備える企業は、世界各地の複数のデータセンターにデータを複製できるため、メインのデータセンターで何か起こっても、情報の安全を守ることができます。こうした企業の場合、データのテストと監視を定期的に実施することでデータの安全性を確保できます。
クラウドベースの障害復旧(DR)への対応ソリューションには、次のようなメリットがあります。
優れた費用対効果:クラウドコンピューティングでは、使用した分のみを支払います。多くの専門知識を必要とすることもなく、保守に要する時間も短いため、ITコストを削減でき、削減した分を事業に重要となる部分に充てることができます。
柔軟性と機動力に優れている:クラウドベースのソリューションでは、自社のビジネスニーズに応じてデータのバックアップ・復元戦略を変更することができます。そのため、必要に応じてサービスを拡大したり縮小したりできます。
自動化:クラウドベースの障害復旧は自動化されているため、従来の障害復旧メソッドのように人間の介入を必要としないため、ミスが生じる可能性が低くなります。そのため、人的資源も、より重要な他のタスクに充てることができます。
高い信頼性:クラウドベースの障害復旧では、データをさまざまな国に保管することができます。また、データ復元計画についても、確実に機能するように、定期的にテストが実施されます。
クラウドベースの障害復旧は、不要なコストを費やすことなくデータを保護できる優れた方法です。事業の規模に合わせて拡張でき、優れた信頼性を備えます。
クラウドベースの障害復旧(DR)への対応戦略の潜在的なメリットを効果的に引き出すには、クラウドベンダー側でいくつかの重要な機能を提供できる必要があります。
サーバーやストレージシステムなど、複数の場所でデータを複製することを、データレプリケーションといいます。データレプリケーションによって、ハードウェア障害、データ破損、自然災害が発生した際の対策としてクラウド上にセーフティネットができ、ダウンタイムが低減され、中断の際にも重要なデータやサービスが利用できるようになります。冗長性のレベルは、データの可用性要件に基づいて調整できます。ミラーリング、レプリケーション、クラスタリングなどの高い冗長性は多くの場合、ミッションクリティカルなデータに使用されます。データレプリケーションは、障害復旧および事業継続性戦略において要の部分です。組織が予期せぬ事象からデータを保護できるようにすると同時に、データを常時利用できるようにします。
クラウドベースの効果的な障害復旧プラットフォームは、重要データをリモートやクラウドの場所に効率的かつ柔軟に複製できなければなりません。つまり、データが最小限の遅延で常に同期されている必要があるということです。レプリケーション機能は、異なるクラウドアプリケーション間やインフラストラクチャプロバイダー間でも機能し、かつ既存のクラウドサービスともシームレスに連携できるものでなければなりません。さらに、バージョニング、スナップショット、増分バックアップなどの高度なデータ管理機能により、さまざまな時点からデータを復元できるものが望ましいです。
データ損失からの迅速な復旧は、サービスのオンライン状態を維持し、お客様への対応を継続するうえで非常に重要となります。攻撃を受けた際に、企業の収益と信用を守ります。
しかし、データがデータセンターやクラウドプロバイダーのシステムなど、複数のシステムに存在していることの多い現代のIT環境では、迅速な復旧が難しい場合もあります。事業継続性を維持し、データ損失による金銭的な影響を低減するために、データ復旧ベンダーは影響を受けたデータを特定できなければなりません。
最近のクラウド復旧ベンダーなら、データの特定後、疑いのあるファイルのみを復元できるツールを備えているはずです。むやみにデータセット全体の復元を行うことはありません。また、通常の業務を迅速に再開できるように、ベンダーはネットワーク全体へのデータのコピーが完了するまで顧客を待たせるのではなく、一時的にバックアップデータから事業を開始できる体制を提供できなければなりません。
強力な障害復旧(DR)への対応計画は、メインのシステムが停止したときに、自動的にバックアップシステムに切り替わることができるものでなければなりません。これは、フェイルオーバーと呼ばれます。メインのシステムが修復したら、今度は自動的にメインシステムに切り替わらなければなりません。これは、フェイルバックと呼ばれます。このプロセスはどちらも、機能停止中も円滑に事業を稼動させ続けるうえで重要です。
優れた障害復旧ベンダーの場合、バックアップシステムへの切り替え、メインシステムへの自動復帰が容易です。つまり、利用者側ですべてを行う必要がないため、時間を節約でき、ミスが起こるリスクを減らせます。また、ベンダーは復旧プロセス全体の管理・監視が容易な環境を提供する必要があります。
近年では、大規模プロバイダー1社のみを利用してクラウドインフラストラクチャに必要なテクノロジーをすべてまかなっている企業はほとんどありません。代わりに、多くのITリーダーは、クラウドのニーズを複数のプロバイダーに分散させ、1社のクラウドリソースに依存し過ぎないようにしています。これは、自社のデータを守り、冗長性を改善し、テクノロジーを地理的に分散させるのにも役立ちます。
そのため、マルチクラウド環境で運用できることが不可欠となります。したがって、障害復旧のポリシーとツールはさまざまなクラウドプロバイダーとの連携が可能でなければなりません。これにより、クラウドベンダーを問わず、IT部門が各種のビジネスデータのソースの監視や操作を行うことができるようになります。そうすることで、データ障害の発生時にミッションクリティカルなデータに確実にアクセスできるだけでなく、ベンダーロックインも防げるので、必要に応じてクラウドプロバイダーを変更できます。
障害復旧のための真のマルチクラウドサポートがあれば、コスト、地域的な可用性、またはインフラストラクチャの互換性といった要素に基づいて、自社のビジネスニーズに最適なITアーキテクチャを構築できます。重要なことは、これらの選択肢が固定されたものではなく、組織のニーズの変化に応じて発展させられるということです。絶えず変化し続けるIT環境において、マルチクラウドのサポートにより、組織の独自の状況や目標に合わせた効果的な障害復旧(DR)への対応戦略を実現できます。
ITシステムに関する情報をリアルタイムで入手することは、先を見越したシステム管理に重要となります。これにより、問題を迅速に特定し、情報に基づいた意思決定を行い、より効率的な運用ができるようになります。この機能がなければ、データに基づいた分析情報を得られないため、顧客のニーズを満たしたり、トレンドに対応したり、将来に向けて備えたりといったことができなくなります。
本当に効果的な障害復旧ベンダーは、組織のレジリエンスにとって欠かせない、通常の業務を継続的に監視する機能を用意しています。異常をすばやく特定し、業務の中断を減らし、ダウンタイムを最小限に抑え、データのアクセシビリティと完全性を確保するために、ITインフラストラクチャの状態、データバックアップ、システムの可用性、データの完全性をリアルタイムで監視できる機能が必要です。
効果的な障害復旧ベンダーは、データの重複排除、圧縮、および費用対効果の優れたクラウドストレージの連携を通じてストレージコストを最適化する方法を理解しています。こうした手法により、冗長性を戦略的に合理化することで、ストレージ費用が削減されます。 効率的なリソース割り当てを通じて過剰なプロビジョニングを防止し、コストを削減するため、自動化も重要な役割を果たします。
一元的なシステム制御と使いやすいインターフェースで、障害復旧(DR)への対応計画の管理を簡素化できます。復旧タスクを一元管理できるコンソールがあれば、バックアップチーム、レプリケーションチーム、フェイルオーバーチームなどの各チームが連携して作業をしやすくなり、障害復旧のプロセスをより効率的かつ組織化されたものにすることができます。使いやすいインターフェースがあると、技術的な専門知識がない新規ユーザーでも、システムについて簡単に習得して使用できるようになります。人為的なエラーが発生する可能性を低減できます。
クラウド障害復旧は、業務中断時に迅速な復旧を実現する冗長性とスケーラビリティを備え、データ損失とダウンタイムを最小限に抑えるのに役立ちます。事業継続性を確保するために欠かせません。その堅牢な機能を考慮すると、企業はRubrikのSecurity Cloudを検討することをお勧めします。クラウド内のデータの継続性とレジリエンスをさらに強化し、予期しない事態や業務中断から保護することができます。Rubrikは、世界クラスのクラウド障害復旧サービスとクラウドデータ保護で、安全な事業運営を支援しています。